
時計のオーバーホールはコントワーヌにお任せください!
【時計の修理とメンテナンス】
Q.オーバーホールとは何?
A.オーバーホール(分解掃除)は機械式時計やクォーツ時計のムーブメント(内部の機械)をパーツごとに分解し、洗浄、不具合の原因の摩耗パーツの交換、組み立て、注油をし、最後に精度調整をするメンテナンス作業のことです。
Q.オーバーホールはなぜ必要なの?
A.どんなに高価な時計、優れている時計を手に入れても長く大切に使うためにはオーバーホールはしたほうがよいでしょう。それは機械式、クォーツ式問わず、内部には多くの細かいはパーツ、歯車や軸があります。それらの部品には1つ1つ重要な役割があり、少しでもパーツが欠けてしまうだけで時計の進みに支障が出てしまい、故障にも繋がってしまいます。それを防ぐため、オーバーホールは必要な作業なのです。
Qオーバーホールのタイミングは?
A.オーバーホールは機械式の時計であれば3年~5年。クォーツ式の時計であれば5年~10年に1回を推奨されています。推奨されているタイミングは目安であり、メーカーやモデル、使用状況によっても異なります。使用年数に関係なく、時間の遅れや進み、リューズが巻きにくさ、持続時間が短くなるなど不具合が出てきたら迷わずオーバーホールをしましょう。
【オーバーホールの作業の流れ】
オーバーホールの作業の流れは機能や種類、状態によって多少異なりますが、一般的な流れをご紹介いたします。
① 分解
時計のオーバーホールでは、ムーブメントを取り出します。取り出したら部品を1つ1つ分解していきます。この時に部品の状態を点検していきます。不具合が生じている場合には問題個所を特定し、部品の劣化や破損などがある場合は必要に応じて交換します。
② 洗浄
分解した部品の洗浄をしていきます。特殊な洗浄器と専用の薬品を調合し洗浄作業を実施します。
③ 外装の洗浄・研磨
外装の洗浄(ケースやブレスレット)は超音波洗浄機を使用して、汚れや垢、サビなどを取り除きます。その後、ポリッシュと呼ばれる磨きをかけてツヤを出す作業を実施し、部品一つひとつが新品のような輝きを取り戻すよう研磨を行います。
④ 組み立て・注油
洗浄後、摩耗している部品がないか顕微鏡で確認します。その後、部品の注油を行いながら、ムーブメントを組み立てていきます。注油個所はそれぞれのモデルによって異なり、オイルは多すぎても少なすぎてもいけません。オーバーホールの中でも、慎重かつ厳密な作業が求められ、非常に神経を使う作業です。
⑤ 調整
精度測定器を使用し、機械式時計のタイミング調整を行います。
⑥ オーバーホール完了
最後はムーブメントをケースに収め、文字盤や針を取り付けます。針回しや日付変更などがきちんとできているかの動作確認や防水テスト、ランニングテスト、巻き上げテストを行います。しばらく時計の動きを確認し、異常がなければオーバーホールの完了です。
【ムーブメントの部品】
オーバーホール(分解掃除)は部品を1つ1つ分解していく作業です。皆さんは機械式の時計にはどのくらい部品が入っているかご存じでしょうか。機械式に使われている部品はおおよそ100個使われています。ムーブメントの中にも多くの細かな部品あります。その1つ1つに名前と役割があり、正常に時計を動かすにはなくてはならない存在です。
部品の名称
時計の部品にはその形や役割から名称がつけられています。それは英語やフランス語がそのままカタカナになったり由来は様々です。今回はムーブメントの展開図をもとに部品名称を解説していきます。
〈手巻き式時計〉
ムーブメント(表)
時計のムーブメントには表と裏があります。テンプや輪列がある側を「表」と呼びます。時計自体の裏蓋側がムーブメントの「表」となります。
① コハゼ
ゼンマイが解けないように、角穴車の歯をブロックしています。逆にゼンマイを巻き上げるときは、歯の上を滑ります。巻き上げる際のカリカリという音は、このコハゼが角穴車の歯の上を滑る音です。
② コハゼばね(click spring)
コハゼが常に角穴車の歯と接触するようにしています。角穴車などの車を一方方向に回転させ、巻き戻りを防ぐ部品です。
③ 香箱受/1番受(barrel bridge)
香箱を支えている受けのことです。受けの内部に巻き上げ機構が組み込まれています。
④ 2番車(center wheel)
時計の基本輪列では、香箱を1番として順番に2番、3番、4番と歯車をかみ合う順に呼びます。この部品は香箱の次にかみ合うので2番車と呼びます。分針と同軸にある歯車で、香箱から動力を増幅させて3番車へ伝えます。ムーブメントの中央に配置され、1時間に一回転します。
⑤ 3番車(third wheel)
2番車の次にかみ合う歯車は3番車と呼びます。2番車から伝わってきた動力を4番車へ伝える動きをする増速歯車です。基本輪列を構成するパーツの1つで、長年使用された自動巻き時計でかなりの確率で交換が必要となる部品の1つです。
⑥ 4番車(seconds wheel)
3番車とがんぎ車の間にある歯車です。ガンギカナとかみ合っています。60秒で1回転します。スモールセコンドが搭載している時計の場合は、スモールセコンドの秒針と同軸になります。
⑦ がんぎ車
4番車の次にかみ合う歯車です。一般的に時計のムーブメントでは、この歯車をがんぎ車と呼びます。子の次にアンクルとかみ合うため、歯車が特殊な形をしています。輪列を介して伝わった動力をアンクルに伝え、また調速を輪列に伝えます。
⑧ 香箱車/1番車
中にぜんまいを収納していて、時計のムーブメントの原動力となる部品です。車を略して香箱と呼ぶことが多いです。ゼンマイを収納している箱型の歯車のことです。ゼンマイが巻きすぎなどで断切してほかの部品を破損することを防ぐ役割を持っています。一般に香箱自身が回転する「回転香箱」が用いられ、その場合は「香箱歯車」が「1番歯車」の役割を担い2番カナへ動力を伝えます。
⑨ 地板(main plate)
全ての部品が組み込まれる土台となる部品です。ムーブメントの本体、各部品がこの板に組み込まれてムーブメントが完成します。
⑩ 丸穴車(crown wheel)
巻き真を巻く力を角穴車に伝えます。角穴車に対して、丸穴車と呼ばれます。巻き上げ機構のパーツの1つで、リューズからツヅミ車、キチ車と伝えられた動力を角穴車に伝える役割をします。
⑪ 角穴車(ratchet wheel)
香箱の香箱真を巻きあげるので、滑り防止で穴が四角になっています。その穴の形にちなんで角穴車と呼ばれています。ゼンマイを巻くときに必要な歯車で、中央の歯車の穴が角形になっています。そのために歯車と軸がしっかりとかみ合わさり、ゼンマイを巻き上げる強い力にも耐えられるようになります。
⑫ 丸穴座
丸穴車と地板の軸の間に入る部品です。丸穴車の摺動を助け、地板の摩耗を防ぎます。
⑬ 耐震装置(受側)
テンプの摺動部となり、テンプ軸、天真(テンプの軸)を衝撃から守ります。インカブロックやキフショック等、メーカーにより様々な形のものがあります。
⑭ 緩急針(regulator)
時計の進み遅れを調整します。ヒゲゼンマイが動く距離(有効長)を調整し、調速を変更するための針です。
⑮ ひげ持ち受
ヒゲゼンマイのひげ持ちを固定するとともに、ひげゼンマイの方振り(往復運動の中心)を調整します。
⑯ 輪列受け/2番受
主に輪列の歯車を地板に組み込みます。輪列を固定している受けです。
⑰ テンプ受
テンプを組込む受けです。緩急針、ひげ持ち受、耐震装置もテンプ受に組み込みます。天真を支えて、テンプのユニットを保持するための受けです。
⑱ テンプ(balance with hairspring)
テン輪やヒゲゼンマイを含みます。往復運動することにより、時計を定速で動かします。テン輪、テン真、振り座などで構成されている脱進機の1部です。輪列、がんぎ車、アンクルと伝わってきた動力をテンプの中心にあるゼンマイとともに規則正しい制度に変換する動きをしています。
⑲ アンクル受
アンクルを組込むための受けです。
⑳ 耐震装置(地板側)
地板側の耐震装置です。役割は受け側の耐震装置と同じです。
㉑ アンクル(pallet fork)
がんぎ車からの動力をテンプに伝えて、テンプからの等速運動をがんぎ車に伝えます。テンプとがんぎ車の間にある脱進機を構成するパーツです。2つの爪をもち、その形が船の錨型をしているところからこう呼ばれています。この2つの爪ががんぎ車を交互に進めテンプの振動を調整します。このアンクルを持つ脱進機構をアンクル脱進機といい、アンクルの軸を支える板をアンクル受けといいます。規則正しい輪列運動をするために欠かせないパーツです。
ムーブメント(裏)
㉒ 裏押さえ(setting lever jumper)
裏周りの部品を押さえて、地板に組み込みます。巻き真周りの部品で、巻き真を引いた時のクリック感を出すバネです。
㉓ かんぬき(yoke)
リューズを引いた際、オシドリに押されてツヅミ車を小鉄車にかみ合わせ、時刻調整を助けます。ツヅミ車にかみ合って、リューズに引っ張られたオシドリによってかんぬきが押され、ツヅミ車と小鉄車をかみ合わせます。そして小鉄車から中間車へと伝わり日の裏車を介してツツ車を回し、時刻合わせができます。
㉔ かんぬきばね
リューズが通常位置のとき、かんぬきを押して、ツヅミ車とキチ車をかみ合わせた状態に保持します。
㉕ 日ノ裏車(minute wheel)
ツツカナとツツ車を連結しています。ツツ車を時間に1回転の回転数にするため、ツツカナの1分に1回転の速度を減速しています。 時針や分針などの示持部分に直接連動する歯車です。
㉖ 小鉄車(setting wheel)
ツヅミ車から日ノ裏車に回転力を伝えるための中間車の役割をする歯車です。
㉗ 小鉄中間車(intermediate setting wheel)
リューズを一段引いたときに小鉄車とかみ合い、日車早送り車に回転を伝える歯車です。
㉘ オシドリ(setting lever)
巻き芯とかみ合っていて、リューズが惹かれるとオシドリも引っ張られ、同時にいかんぬきを押し出す仕組みになっています。それによってツヅミ車はキチ車から離れて小鉄車に運動し時刻を合わせることができます。時刻合わせに必要なパーツです。
㉙ 巻き芯(winding stem)
リューズと繋がって、ゼンマイを巻いたり時刻を合わせたりするための軸のことです。
㉚ キチ車
巻き芯を通してリューズと連結され、ぜんまいを巻き上げる力を巻き芯から丸穴車へ伝える歯車です。
㉛ ツヅミ車(clutch wheel)
巻き芯の針回しとゼンマイを巻く機能を切り替えている、鼓型の歯車です。
㉜ ツツ車/時針車(hour wheel)
先端に時針が取り付けられる、12時で一周する歯車です。
㉝ ツツカナ/分針車
分針が取り付けられる部品です。
〈自動巻き式時計〉
自動巻き機構の部品
① ローター(回転錘)(rotor)
手でシューズを巻き上げる代わりに、腕の動きでローターを動かしてゼンマイを巻き上げます。エネルギーを蓄えるため両方向回転式の錘です。
② 伝え車
ローターカナとかみ合って自動巻き機構に巻き上げの回転力を伝える歯車です。
③ 自動巻き伝え受け
上下で自動巻き機構を組込み、ペアリングを介してローターと組み合わされています。
④ 減速車中間車(inrermediate reduction wheel and pinion)
伝え車と減速車の間に入る歯車です。伝え車からの回転はここでも減速されます。
⑤ 減速車(reduction wheel and pinion)
ゼンマイを回すために、ローターからの回転力を減速してトルクを上げている歯車です。
⑥ 伝え車中間車
伝え車からの回転力を受けるもう一つの歯車です。減速車中間車と逆方向の力を伝えます。
⑦ 切り替え車
伝え車中間車から受けた回転を逆方向にして、減速車に伝えるための歯車です。
⑧ 自動巻き伝え車(下側)
上側の受けと合わせて自動巻き機構の歯車を支えている受けです。
⑨ 規制レバー(train wheel setting lever)
リューズを引いたときに、時計機構を停止させるレバーです。
⑩ 地板
これは基本的な時計機構が組み込まれた状態です。自動巻き機構はその上につきます。
〈クォーツ式時計〉
電池を入れて動く時計は、時間源をとして水晶(クォーツ:Quartz)振動子を使用していることから、クォーツ式時計と呼ばれています。
① 電池
クォーツ式時計の電池は、主にボタン電池が使われています。使用されている電池は時計によって異なり、タイプが違うと正常に動作しない可能性もあります。多くのクォーツ式の電池は2年~3年に1回電池交換をする必要があります。電池切れのまま放置すると液漏れや過放電により、電池周辺のムーブメントに影響が及び、
② 水晶振動子
クォーツ式時計の心臓部です。水晶振動子によって生成された基準信号が、秒針や分針の動作を制御しています。水晶振動子によって、クォーツ式時計の時間制度は機械式時計に比べ高くなります。
③ マイクロチップ(IC回路)
電池の力で振動する水晶の振動を、IC回路で1秒ごとの電気信号に変換します。電気信号をステップモーターに伝えて、歯車を動かします。
④ ステップモーター
電気信号により、1秒ごとに回転するモーターのことです。1秒間に振動する回数は決まっています。ICが1秒間分の振動数をカウントしたときにステップモーターに電圧をかけて、秒針を1つ進めます。
【オーバーホールならコントワーヌへ!】
時計のことでこんなお悩みはありませんか?
「時計が動かなくなってしまった」「時間の遅れや進みが気になる」「風防が割れてしまった」「ケースの中に水が入ってしまった」「リューズが取れてしまった」「ケースやブレスの傷が気になる」「リューズが重い」「日付変更がうまくできない」「オーバーホールはしたいけれどどこにお願いすればいいのかわからない」「まずはみつもりをとりたい」「近くに時計店がない」「どんなブランドも修理してくれるの?」
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